牛肉の「希少部位」と聞くと、なんだか高価そうなイメージがありませんか?しかし、希少部位だからといってすべてが高価なわけではないので、このイメージは間違っているということです。普段何気なく焼肉店などで口にしている部位の中にも希少部位は多く存在します。
希少部位の中にはあっさり系から濃厚な味わいのものまでさまざまな特徴を持つものがあります。特徴を見れば、きっと食べてみたい牛肉が見つかるはず。
そこで今回は、牛肉の希少部位ごとに位置や特徴をご紹介します。
この記事は、和牛×ギフトの専門店「肉贈」の店長松本が監修しています。
肉検定1級・2級、家畜商の免許も取得済。和牛の肥育もしています。
「和牛×ギフト」を通して、贈り主&贈り先の双方を幸せにすることを目標に日々活動中。
牛肉の中で「希少部位」と呼ばれる条件
希少部位とは具体的に言うと、牛一頭から取れる量の少ない部位のことを言います。牛は一頭当たり400〜600kgほどの体重がありますが、希少部位はそのうちの3kg以下しか取れない部位のことです。
そのため、希少部位=美味しいということではなく、さらに希少部位=高価ということでもありません。
牛肉の希少部位一覧
では、実際に希少部位と呼ばれる部位にはどのような部位があるのでしょうか。位置と特徴を見てみましょう。
希少部位① シャトーブリアン
シャトーブリアンは人気の高い高級部位「ヒレ」の中で、もっとも肉質のいい最高級部位です。牛肉の中で一番やわらかく、容易に噛み切れます。ステーキで食べることが多く、焼肉にする場合はサイコロ状にするのがおすすめです。
希少価値が高く、肉質も非常に良いため高価な部位ですが、一度は味わってみたい部位と言えます。
◯特選 米沢牛 シャトーブリアンステーキ100g×2枚セット(A5・A4等級) 価格:14,815円 ◯飛騨牛 シャトーブリアン ステーキ 200g A5 A4 (100g × 2枚) 価格:26,074円 |
希少部位② タン
タンには、
- タン先
- タン中
- タン元
この3種類に分類でき、それぞれ肉質が異なります。
この中で一番柔らかいのはタン元で、本格的な焼肉店などで提供されています。タン中はスーパーなどでも購入できますが、タン中を提供している焼肉店も多くあるため、タンの中でも身近な部位と言えるでしょう。タン元やタン中はやはり焼いて食べるのが一番おすすめの食べ方です。
タン先は他の2つに比べて運動量が多く固めであるため、焼肉などには適していません。また、においも強いためタンシチューなどの煮込み料理に適しています。
〇黒毛和牛 タン 価格:15,000円 |
希少部位③ イチボ
イチボはお尻のあたりにある部位で赤身肉です。お尻の近くの赤身は固そうなイメージがあるかもしれませんが、程よい脂肪がついているため脂肪と赤身のバランスがよく柔らかさがあるのが特徴です。
脂肪がついているといってもしつこすぎず、赤身のうまみも楽しめる部位なので、ステーキで味わうのがおすすめ。「赤身が良いけど、柔らかさが欲しいし脂の甘みも欲しい」そんな贅沢な希望を叶えてくれる部位と言えます。
◯神戸牛イチボステーキ 200g 価格:10,800円 ◯最高級 極上 松阪牛 ギフト ステーキ イチボ 200g 価格:9,504円 |
希少部位④ ハラミ
ハラミと聞くと柔らかいお肉をイメージする方もいるでしょう。実は、ハラミは牛の横隔膜で、ホルモンに分類されることを知っていますか?横隔膜はハラミとサガリに分けることができ、ハラミは横隔膜の中でも長く薄い部分です。
脂身が少なくあっさりとした味わいで、柔らかな食感が好きという人は多いのではないでしょうか。
希少部位⑤ サガリ
関東圏ではハラミとサガリを合わせて「サガリ」としているお店も多いため、なかなか名前を見かけることの少ない部位です。サガリも非常に柔らかく、その柔らかさはカルビと同等。ハラミもサガリも脂が少なくヘルシーであるため女性からの人気も高めです。
しかし、ハラミは上質なものになるとサシが多く入るため、カロリーを気にするのであればサガリの方がおすすめ。
カルビとそれぞれ比較してみると以下のようなカロリーの違いがあります。
- サガリ…283kcal/100g
- ハラミ…342kcal/100g
- カルビ…455kcal/100g
カルビよりもハラミの方が100kcal以上低いですが、サガリの場合はさらにカロリーが低くヘルシーであることがわかります。脂質の量もハラミよりサガリの方が少ないため、ヘルシーに焼肉を食べたい人にはおすすめの部位です。
希少部位⑥ カブリ(リブキャップ)
カブリはリーブロースの背中側にある部位です。リブロースに被さるような形状をしていることからそのような名前をしているそうです。
リブロースの隣の部位なので、リブロースと似た肉質で、赤身と脂のバランスが良く、きめ細かさが特徴的。旨味が強く、脂の甘み濃厚に感じることができます。
リブロースよりはやや硬めなので、焼肉以外にもすき焼き・しゃぶしゃぶ・ローストビーフなどにも使用されます。
希少部位⑦ 三角バラ
三角バラはその名の通り、ブロックが三角形であることから三角バラと呼ばれています。チャックリブとも呼ばれる、肩バラの一部で、肋骨の前についている部位です。バラ肉の中でも非常に希少で最高級とされる部位で、焼肉店や精肉店などでは、「特上カルビ」「極上カルビ」として取り扱われています。
一般的なカルビには「中バラ」が使用されることが多いのですが、中バラは1頭当たり30kgも取れるため、三角バラは中バラに比べて1/30しか取れないということからも希少性がわかります。
赤身とサシのバランスが良く、ブランド牛の三角バラは口に入れた瞬間にとろけるような柔らかさを楽しめます。
◯最高級 極上 松阪牛 ギフト 焼肉 特上カルビ(三角バラ)400g 価格:15,984円 |
希少部位⑧ ザブトン(ハネシタ)
肩ロースの中で、もっともサシが入っている部位で、座布団のような形状からその名前が付けられています。牛肉の部位全体の中でも一番の霜降りが楽しめる部位で、霜降りで肉全体が白っぽく見えるほどです。サシがしっかりと入っているため、非常に柔らかくとろけるような食感を味わうことができます。霜降りで脂をしっかりと感じる部位ですが、しつこさはなく上品な味わいを感じられるのも特徴です。
肉寿司や刺身などにも使用されます。
希少部位⑨ トモサンカク
後ろ脚の付け根部分にシンタマという部位があり、シンタマを4種類に分けたうちの一つがトモサンカクです。しっかりとサシが入っていて脂っぽさが心配になる方もいるかもしれませんが、口当たりは見た目に反してあっさりとしており、もも肉の部位なので赤身のうまみも感じられます。
厚切りであればレアで、薄切りであればサッと炙るのがおすすめ。
◯前沢牛トモサンカクステーキ(A5・A4等級)100g 価格:5,400円 ◯飛騨牛 焼肉 ギフト 特上 霜降り&赤身 食べ比べ セット 400g A5 A4 価格:19,035円 |
希少部位⑩ ミスジ
肩甲骨の裏あたりにあるウデニクで、真ん中に一本の筋が入っています。葉っぱのような形をしており、和牛のミスジには葉脈のようなサシが入り、焼肉店などでは「特上カルビ」として扱われることも。ミスジがある肩甲骨の裏はあまり動かさない部分であるため、柔らかく食べやすく、ウデニクの中でもっとも霜降りが多い部位です。
◯A5黒毛和牛「ミスジ」ステーキ 70g×2 価格:5,400円 ◯前沢牛ミスジステーキ(A5・A4等級)100g 価格:5,400円 |
希少部位⑪ カイノミ
牛肉のバラは中バラとトモバラに分けられますが、カイノミは中バラの一部の部位でヒレに隣接した脇腹のあたりにあります。脂を取り除いた状態の一部が貝の身に似た形であることからカイノミと呼ばれています。
カイノミはバラの中でもっとも柔らかい赤身なのが特徴ですが、上質なものになるほど綺麗なサシが入ります。しかし、サシが入っているものでもあっさりとしているため、誰もが食べやすい部位です。
希少部位⑫ フランク(ササニク・ササミ)
外バラの一部の部位であるフランクは、笹の葉のような美しいサシが特徴で、見た目に反して筋がなく、味はあっさりとしています。
クセがなく非常に柔らかいため、カルビをあっさりとさせたような印象です。
希少部位⑬ テール
牛の尻尾であるテールはコラーゲンとうまみがたっぷりと詰まった部位です。焼肉では薄切りにして食べられることもありますが、テールスープなど煮込みに使われることが多いでしょう。
特に黒毛和牛のテールは旨味が強く、肉質も柔らかいため輸入牛や乳用種と比べて段違いに絶品です。
まとめ
今回は、牛肉の希少部位ごとに位置や特徴をご紹介しました。
ここでご紹介した希少部位は、牛一頭から3kg以下しか取れないものを挙げています。それぞれに肉質やサシの入り方が異なるため、食べ比べてみるのも楽しいですよ。
何を食べるか迷ったら、ぜひ参考にしてみてください。